生体防御について
1. 生体防御機能=病気に対する抵抗力(抵抗体力)
生体防御能は、外から侵入してくる細菌やウイルス、体内で発生する癌細胞、役割を終えた生理活性物質や古くなった細胞などを処理するシステムです。このシステムは、病気にならない、なりにくい、病気から速やかに回復する、病気の進行を抑える、そして同じ病気に2度かからないようにするなど健康を維持する上で大変重要な働きです。生体防御機能を維持する担当細胞は、血液の中の白血球成分です。
免疫のしくみ
生体防御機能は、白血球成分が中心的に働き連続的なバリアーを形成します。
初期防御 | 好中球、マクロファージ、NK細胞(非特異的な反応;相手を選ばない) |
---|---|
免疫 | リンパ球以降(特異的な反応;特定の相手を攻撃) |
2. 生体防御機能の主役
生体防御機能を維持する担当細胞は、血液の中の白血球成分です。血液細胞は、赤血球(酸素を運搬する)、血小板(血管の修理)、白血球(免疫担当細胞)から構成されています。種々の白血球細胞がそれぞれの得意分野の異物を処理することにより効率的に生体防御機能を働かせます。
細胞名 | 主な能力 | 得意分野 | 活動の場 | 割合% |
---|---|---|---|---|
好中球 | 異物の貪食 消化・分解 |
細菌、血栓、細胞破砕物の処理 | 血液中および細菌侵入部位 | 60 |
リンパ球 | ||||
B細胞 | 抗体産生 | 抗原抗体反応による細菌、ウイルス、毒素の除去 | 血液中 | 35 |
T細胞 | 細胞障害 免疫反応の制御 | 抗体産生の制御、マクロファージ活性化、腫瘍、ウイルス感染細胞、細菌感染細胞の除去 | リンパ組織 | |
単球 マクロファージ |
異物の貪食抗原の提示 | 細菌、腫瘍細胞、役割の終わった生理活性物質や赤血球などの除去、抗原情報の分析 | 血液中および組織(肝臓、脾臓、肺、骨など) | 3 |
好酸球 好塩基球 |
貪食 肥満細胞 |
寄生虫? アレルギーに関係? |
1 1 |
|
NK細胞 | 細胞障害 | 腫瘍細胞などを攻撃 | わずか |
白血球細胞の作用例
- 感染症を起こす細菌などは、好中球が処理します。
- 好中球で処理しきれない細菌は、抗体が処理します。
- 腫瘍細胞は、NK細胞やT細胞が処理します。
- 古い赤血球は、脾臓のマクロファージが処理します。
3. 生体防御能力の変動
- 生体防御機能は、年齢に応じて変動します。抵抗力の低い時、病気が多くなります。
- 生体防御機能は、下記の様な要因により影響を受けます。
[1]栄養状態、食物選択
[2]ストレス
[3]化学物質の暴露
[4]医学的治療(抗生物質、放射線、抗癌剤、手術など) - 年齢相応に生体防御能を保ち、各種疾病を予防することは重要な事です。
- 長寿のヒトは、生体防御能が高いと言われています。
- 40才代のヒトは、10才代の半分の生体防御能です。(抵抗体力の曲がり角)